アメリカ★だらだら読書日記

ロサンゼルス在住。英語(洋書)の絵本を含めた児童書や、児童書作家について調べています。

2000年以降に出版された絵本

180. A Sick Day for Amos McGee


A Sick Day for Amos McGee
- Philip C. Stead (Author)
- Erin E. Stead (Illustrator)
- Roaring Brook Press 2010年
- Caldecott (2011) コルデコット金賞
★★★★★

今年のコルデコット金賞です。

主人公は動物園につとめる老人なので、落ち着いた日常にある、温かいストーリー。そのお話にあった絵の、このクラシックな感じがとても好きになりました。

木版画と鉛筆ということですが、色の付いているところは木目が見えて、とても素敵です。色彩のやわらかさが見事で象さんの色合いはなんとも言えないピンク色。全体的にあわい色合いですが、時たまある真っ赤が、絵をひきしめてもいます。

アメリカの絵本でも色彩がはっきりした作品が最近は多いですが、日本でもギラギラした配色の絵本が多いような気がしていました。ですが、こういう絵が大きな賞を受賞するというのは、また新しいようにも思いました。

また、背景が素朴なので描写が浮かび上がっているのも魅力。
朝のシーンで、キッチンの壁にペンギンの額が飾ってあり、「?」と思いましたが、まさか動物園に勤める人だったとは。

通勤のバスの中で、ウサギが新聞を読んでいたり。。ペンギン山にいる小さいペンギン達も良く見ると本を読んでいたり、浮き輪をしていたり。。サイのコーナーに咲いているお花は、老人の家のテーブルに活けてあったお花と同じだったり。。絵の細部もよく見るととても楽しく温かいです。

動物達も、ものすごく分かりやすい表情をするってわけでは無いのだけれど、象さんの優しい目や、老人がそっと足で触れたサイの鼻など、包み込むような温かさと温度が絵の中にあります。

このアーティスト、エリンさんは、作家フィリップさんの妻であり、絵本は初めての作品なのだそうです。フィリップさんは今回は文のみの作者ですがCreamed Tuna Fish and Peas on Toast という絵本では文とイラストを手がけています。

167. Basho and the Fox


- Basho and the Fox
- Tim Myers (Author)
- Oki S. Han (Illustrator)
- Marshall Cavendish 2000年 初版
★★★

アメリカの絵本で、芭蕉と狐のお話だったので、どういうものか興味を持って読んでみました。

さくらんぼの実を全部食べたい芭蕉が狐とやり取りをするお話です。

芭蕉が狐の納得するような素晴らしい俳句を作って来たら、さくらんぼの実は全部芭蕉のものになる、そしてチャンスは3回ある、というのが狐の提案でした。

二回目の俳句に、あの有名な“古池や蛙飛び込む水の音”が登場します。

色々なアメリカ人の感想を読んでみたのですが、日本の有名な俳人である芭蕉の話というのと、着物を着た狐や、日本家屋、満月などの絵が幻想的なようでした。

日本人の私としては、狐との俳句のとんち比べみたいなものを想像していたので、ちょっと違いました。。。

166. Edwardo the Horriblest Boy in the Whole Wide World


- Edwardo the Horriblest Boy in the Whole Wide World
- John Burningham (Author)
- Alfred A. Knopf
- 2006年初版
★★★★

題名があまりに面白いので読んでみた絵本です。

Edwardoは普通の男の子。

だけど、大人たちからroughest, noisiest,
nastiest boy..などとそれぞれ言われ、どんどん悪くなって行く

あげくの果てには“the horriblest boy in the
whole wide world.”などと言われてしまった。

ひどい表現の文は、英語の表現が思いっきり激しくて面白い。

でもEdwardoは、ひょんな行動から感謝されたり褒められたりして、彼自身に変化がおきていく。

別に良いことをする気があった訳でもないのに、誰かに褒められたりしたことで益々良い行動をするようになるって、大人でもあるかもしれないなぁ~と思いました。

154. Birds


-Birds
-Kevin Henkes (Author)
-Laura Dronzek (Illustrator)
-Greenwillow Books 2009
-32 pages
★★★★

2歳くらいのお子さんにも良さそうな絵本。
はっきりとした色合いの絵が、子供の心をひきとめそうです。

鳥には色んな色があって、色んな大きさのがいる。
というように始まって、お勉強っぽいのかな。。と思ったのですが、全然違って素敵でした。

七羽の鳥が電話線にとまっていて、ずっと動かなくて、ずっと動かなくて、ずっと動かなくて。。ちょっと目を離したら・・・いなくなってた。ってそのページが面白い。

後半も、女の子が登場しますが、単純な言葉の中にも、こういう風に想像力を膨らませるような絵本が作れるのだなぁ。。と思いました。

作家のKevin Henkesさんは、Kitten's First Full Moonでコルデコット金賞を受賞した人です。今回イラストを担当したLauraさんもいくつかの絵本を手がけた事のある方で、彼女はKevinさんの奥さんとのこと。この絵本は、夫婦の共同作品だそうす。

153. The Extraordinary Mark Twain (According to Susy)


- The Extraordinary Mark Twain
- Barbara Kerley (Author)
- Edwin Fotheringham (illustrator)
- sholastic 2010
- 48 pages
★★★★★

アメリカの偉大な作家、マーク・トゥエイン氏の没後100年を記念して、今年出版されたばかりの絵本です。

ストーリーは、マーク・トゥエインの娘である13歳のスージーが、彼の事を日記に書いたところからはじまります。世界的に有名な作家でも、彼女にとってはパパ。そんな身近な家族の視点から、マーク・トゥエインの一人の人としての色んな一面が、ちょっとしたエピソードとともに紹介されて行きます。

一番面白かったのは、彼が図書館で本を読んで笑っていて、奥さんが何を読んでいるのかと覗き込んだら、マーク・トゥエイン(彼自身)の本だったというエピソード。自分の作品を読んで笑えるって素敵ですね。

絵の方も、タバコをすったり、物を投げちゃったりする、マーク・トゥエインの特徴がつかんであって面白いです。

148. The Longest Night


- The Longest Night
- Marion Dane Bauer (Author)
- Ted Lewin (Illustrator)
- Holiday House 2009年 出版
★★★★★

冬の長い長い夜。
動物達が夜が明けるのを心待ちにしています。

誰が太陽を昇らせることが出来るのか?
その答えは風だけが知っています。

それぞれの大きな動物が、それは自分だと偉そうに言いますが、風の答えは違っていました。

リズムのあるお話で、ポエムのように語られていくお話。
イラストはとても素晴らしく、最後の数ページは森に太陽が昇るという行為が、神々しく感じられるほどでした。


146. Crow Call


- Crow Call
- Lois Lowry (Author)
- Bagram Ibatoulline (Illustrator)
- Scholastic 2009
★★★★

時は1945年。
戦争から返ってきたお父さんと娘のお話です。

お父さんは、長い間、戦争に行っていて留守にしていたので、女の子はちょっと緊張意味。。お父さんに呼びかける練習を心の中で何度もします。

お父さんはずっと会ってなかったから、彼女の好きな食べ物を知らない。。けど、チェリーパイだと答えたら2つも注文してくれた。

そして二人でハンティングへでかけて、カラスを呼びます。。

お父さんが返ってきたことを実感している、女の子の小さな心が、静かに繊細に語られています。

この作者は、ニューベリーメダルを2つも受賞した有名な作家。彼女が女の子だった頃の、父親との本当の思い出なのだそうです。

144. A Visitor for Bear


- A Visitor for Bear
- Bonny Becker (Author)
- Kady MacDonald Denton (Illustrater)
- Candlewick Press 2008年出版
- 56 pages
- E.B. White Read Aloud Award 2009

★★★★★
クマさんは、お客さんが好きではなくて、玄関に“お客さんお断り”と看板を出してるくらい。でも、クマさんが朝食を楽しく作っていると、小さい、灰色の、目がキラキラしたネズミが訪ねてきます。

クマさんが出て行けー と怒ると、小さい、灰色の、目がキラキラしたネズミは素直に謝って出て行きます・・・が、または戻ってきます根負けしたクマさんは、そしてとうとう泣いてしまう。。

キャラクターは怒ったり、泣いたり、笑ったり、大忙し。ストーリ展開が上手に出来ているので、次々と一揆に読んでいってしまいました。

ペンと水性絵の具で描かれたクマさんの家が、とっても素敵。
ドタバタ劇の様子も、表情豊かに描かれていて面白いです

56ページと、絵本にしてはちょっと長めだけれど、飽きることなく読めるのは、物語の魅力と絵が相性良く溶け合っているからだと思います。

143. All the World


- All the World
- Liz Garton scanlon (Author)
- Marla Frazee (Illustrator)
- Beach Lane Books 2009年 出版
- 40 pages
- Caldecott Honor 2010 (コルデコット銀賞)

★★★★★
シンプルで、ただ単語を並べたようだけど、韻を踏んでいて、暖かいお話です。

題名が“世界じゅうすべて”で、話のスケールは大きい。海辺のシーンから“世界は広くて深い”と大自然のことがらからはじまります。そして、畑、道、天候など自然の話から、食堂や音楽など段々と日常にフォーカスされていきます。最後には“あなたと自分の世界”へ話題をもっていく。。

自分のまわり全てに世界があるんだと、大人にも気付かせてくれます。。

この作品でコルデコット・オーナーを受賞したイラストレータのマーラさんは、パサデナ在住。現在、私はパサデナに住んでいるので、この絵の景色もなんだか身近なものに感じました。

114. The Hair of Zoe Fleefenbacher Goes to School


- The Hair of Zoe Fleefenbacher Goes to School
- Laurie Halse Anderson (author)
- Ard Hoyt (illustrater)
- Simon & Schuster 2009年(出版)
★★★★

Zoeの髪は長くて、おお~い!
彼女の髪は、2歳の頃にクッキーのジャーを開ける方法を覚えた・・とはじまり、どんどん色んな事ができるようになって行く。

家でも幼稚園でも、皆に素敵な髪だと好かれてました

でも、小学校に入ると、「学校にはルールがあります!」と先生が怒ってしまう

そこで彼女は髪を沢山のピンやゴムでぐるぐるに縛ることにするのだけれど。。

ユーモアにあふれた楽しさがありながら、現実離れしてるようではあっても、規則でがんじがらめの学校に、個人の個性というものを認めるような部分がキラッと光るお話に仕上がってます

Laurie Halse Anderson氏は、SpeaKをはじめとする作品で、数々の賞に輝いている絵本や十代向け書籍の作家です。

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